「介護保険って、結局なにができるの?」
そう感じている方は、決して少なくありません。制度の言葉は難しく、調べようとすると専門用語ばかりが並び、途中で読むのをやめてしまう方も多いのではないでしょうか。
筆者は介護福祉士として現場に立ち続け、ご本人や来所されるご家族の悩みに触れてきました。その中で強く感じるのは、「もっと早く、正しく介護保険を知っていれば、ここまで困らずに済んだのに」という声の多さです。
実際に筆者の両親(80代半ば)も入退院を繰り返していますが、制度の内容は全く知りませんでした。(説明されているが覚えていないとも言える)
この記事では、介護保険をご存じない方を想定し、
・介護保険で「できること・できないこと」
・どんなサービスがあるのか
・どうやって使い始めるのか
を、“仙台市”をモデルを主に、ケアマネージャーの話も織り交ぜて、できる限り噛み砕いて解説。
読み終えるころに「何から考えればいいのか」「誰に相談すればいいのか」が整理され、必要以上に不安を抱えずに次の一歩を選べる状態になれば幸いです。
※本記事は一般的な説明です。実際の認定・サービス内容は仙台市の担当窓口にご確認ください
介護保険サービスとは何か?
介護保険サービスを理解するためには、まず「この制度が何のためにあるのか」を知ることが大切です。
介護保険は、高齢や病気などによって日常生活に支援が必要になったとき、本人や家族だけで抱え込まず、社会全体で支えるための仕組みです。
現金を受け取る制度ではなく、サービスを利用する権利を得る保険制度と考えると分かりやすいでしょう。
介護保険を使えるのはどんな人?
介護保険は「高齢者なら誰でも使える」というわけではありません。
一定の条件と手続きを経て、はじめて利用が可能になります(仙台市公式ページ参照)。
対象となる年齢と条件
- 65歳以上の方
介護や支援が必要と認定されれば利用可能 - 40〜64歳の方
加齢に伴う特定疾病が原因の場合に限り対象
要支援・要介護とはどういう意味?
介護保険では、支援の必要度を段階的に判定します。
この認定の基準や申請方法は仙台市公式サイトでも案内されています。
(申請書ダウンロード・利用方法含む)。
- 要支援1・2
日常生活は概ね自立しているが、一部支援が必要 - 要介護1〜5
介助が必要な場面が増え、数字が大きいほど介護量が多い
この区分により、使えるサービスの内容・量・上限が変わります。
介護保険で利用できる主なサービス
介護保険のサービスは、生活の場ごとに整理すると理解しやすくなります。
公式サイトでも種類が一覧で紹介されています。
自宅で受けられるサービス(在宅サービス)
「住み慣れた自宅で生活を続けたい」という希望を支えるのが在宅サービスです。
仙台市でも「在宅サービス」として案内されている種類があります(訪問介護・訪問入浴・訪問看護等)。
訪問介護(ホームヘルプ)
ヘルパーが自宅を訪問し、以下のような支援を行います。
- 入浴・排せつ・着替えなどの身体介護
- 掃除・洗濯・調理などの生活援助
- 通院時の付き添い(内容に制限あり)
訪問看護
看護師が自宅を訪問し、医療的視点で支援します。
- 健康状態の観察
- 服薬管理
- 医師の指示に基づく処置
訪問入浴
自宅に専用浴槽を持ち込み、複数名体制で入浴を支援します。
寝たきりの方でも利用できる点が特徴です。
福祉用具の貸与(在宅生活を支える「道具の支援」)
在宅サービスを考えるうえで、人の支援と同じくらい重要なのが「福祉用具の貸与」です。
介護保険では、福祉用具の貸与も在宅サービスの一つとして位置付けられています。
福祉用具の貸与とは、介護が必要な方の生活を支えるために、介護保険を使って必要な用具を“借りる”仕組みです。購入ではなく貸与が基本となるため、身体状況の変化に応じて見直しがしやすい特徴があります。
なぜ福祉用具が必要になるのか
介護が必要になると、「立ち上がる」「歩く」といった動作が難しくなります。
これらを補うための道具は、転倒予防や介助の負担軽減に役立ちます(例:手すり・車いす・介護用ベッドなど)。
介護保険で貸与される主な福祉用具
- 手すり(工事を伴わないもの)
- 杖・歩行器・歩行車
- 車いすおよび付属品
- 介護用ベッド(特殊寝台)
- 床ずれ防止用具(体圧分散マットなど)
- 移動用リフト
これらは、ケアマネージャーと福祉用具専門相談員が連携して選定します。
自己負担と注意点
福祉用具貸与の自己負担は、原則1割負担(所得により2〜3割)です(仙台市の制度全般についても公式で確認できます)。
日中に通って利用するサービス(通所サービス)
デイサービス(通所介護)
- 食事・入浴
- 体操やレクリエーション
- 他者との交流
通所系サービスもで種類が紹介されています。
デイケア(通所リハビリ)
- 専門職によるリハビリ
- 身体機能の維持・回復が目的
短期間泊まれるサービス(ショートステイ)
介護する家族の休息や、緊急時の受け皿として利用されます。
数日から1週間程度の宿泊が可能です。(緊急入所は2週間程度)
施設で生活するサービス(施設系)
在宅生活が難しくなった場合の選択肢です。
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護医療院 など
介護保険で「できないこと」
- 草むしりや大掃除
- 家族全員分の家事
- 金銭管理の代行
- 嗜好品の買い出し依頼(お酒やタバコなど)
あくまで「本人の生活支援」に限定されます。
利用までの流れ(仙台市モデル)
- 地域包括支援センターへ相談(仙台市内の地域包括支援センター一覧あり)
- 要介護認定の申請
- 認定調査・主治医意見書
- 認定結果通知
- ケアマネージャーと契約(ケアプラン作成依頼の手続き)
- サービス利用開始
仙台市公式ページには認定申請書のダウンロード情報も掲載されています。
自己負担はいくらかかる?
原則1割負担(所得により2〜3割)。
介護保険料や負担割合については仙台市公式ページで詳細が公開されています。
介護保険は「生活を守る選択肢」
介護保険は、何かを「失った人」のための制度ではありません。
年齢や体調の変化によって、これまでと同じ生活が少し難しくなったときに、その人らしい暮らしを続けるための選択肢を増やす制度です。
すべてを人に任せるための仕組みでも、無理をして頑張り続けるための制度でもありません。
人の支援、通うサービス、施設、そして福祉用具といった複数の選択肢を組み合わせながら、できることを保ち、安心して毎日を送るための「支え方」を選ぶことができます。
「まだ使うほどではない」と感じる段階で知っておくことが、いざというときの不安を減らします。
介護保険は、生活を奪う制度ではなく、暮らしを守り、続けるための制度なのです。
※本記事は、介護保険制度および各種サービス(福祉用具貸与を含む)について、一般的な情報提供を目的としています。
実際の利用可否、費用、サービス内容は、本人の心身状態、医師の意見、自治体の運用、担当ケアマネージャーの判断等により異なります。
具体的な判断や利用については、必ず仙台市地域包括支援センターや市役所・区役所の介護保険課・専門職へご相談ください。



