
「最近、父が怒りっぽくなってきていて…」
そんなご相談を、ご家族(娘さん)からいただきました。
以前は穏やかで、人と話すことも好きだった現在90歳のお父さま。
それがここ最近、ちょっとしたことで感情を荒げるようになり、ご家族としても戸惑いを感じていたそうです。
「年齢のせいなのか、それとも何か理由があるのか分からなくて…」
その言葉の裏には、心配と不安がにじんでいました。
今回の訪問は、そんなご家族の想いから始まった見守り訪問です。
約90分の訪問時間であった変化とは?
※掲載写真は娘さん撮影。顔出しなしの条件で許可をいただいています。
■怒りの背景にあった“外出減少”
お話を伺うと、旦那さまはここ最近、膝の痛みが強くなり、外出の機会が減っていたとのこと。
それに伴い、ご家族以外との関わりもほとんどなくなっていました。
もともとは人前で歌を披露するほど社交的で、お話しも大好きな方。
だからこそ、そのギャップは大きく、ご本人の中でストレスが溜まっていった可能性は高いと感じました。
■“解決しない関わり”という選択
ただ、今回の訪問で大事にしたのは「原因を突き止めること」でも「問題を解決すること」でもありません。
あくまで目的は一つ。
第三者が関わることでの“気分転換”です。
ご家族以外の第三者が入ることで、自然と“よそ行きの顔”になることがあります。
普段は見せない穏やかな表情や、気を遣ったやり取りが生まれることも少なくありません。
一見すると「無理をしているのでは」と感じるかもしれませんが、この“よそ行きの自分”は、社会とのつながりを保っていた頃の大切な一面でもあります。
その一面が引き出されることで、気持ちが整ったり、感情の偏りが少しやわらぐきっかけになることがあります。
介護の現場では、どうしても「何とかしなければ」「改善させなければ」という意識が強くなりがちです。
ですが今回は違います。
“そっと関わり、何もしないことも支援のひとつ”
そう考えて関わりました。
■一緒に歌った「星影のワルツ」
会話の流れの中で、昔よく歌っていたという話になり、
自然と一緒に歌うことに。
選ばれたのは、懐かしい一曲「星影のワルツ」
最初は少し照れながらでしたが、歌い進めるうちに表情がどんどん柔らかくなっていきます。
そして歌い終わったあとにふっと見せた、自然な笑顔…
あの瞬間の空気は、今でもはっきり覚えています。
■怒りの奥にあるもの

怒りという感情は、そのまま“怒りではないこと”が多いです。
・寂しさ
・不安
・役割の喪失
・誰にも話せないもどかしさ
今回のケースでも、外出が減り、人との関わりが減ったことで、“感情の行き場がなくなっていた”可能性は高いでしょう。
そこに、ただひとり第三者が入るだけで、空気が変わることがあります。
■笑護が大切にしていること
笑護の関わりは、
・診断しない
・原因を決めつけない
・無理に変えようとしない
その代わりに「その人の時間を一緒に過ごす」という、とてもシンプルなものです。
■今回の訪問を終えて
今回の訪問で、大きな変化があったわけではありません。
ですが、一緒に歌い終えたあとに見せてくれた、あの自然な笑顔とそれを見たご家族の安心した表情。
それだけで、この時間には十分な意味がありました。
怒りの背景には、外出の減少や人との関わりの減少があったのかもしれません。
だからこそ今回は、原因を探ることも、何かを変えることもせず、ただ第三者として同じ時間を過ごすことを大切にしました。
それだけでも、空気は変わります。
笑護はこれからも、その人がその人らしくいられる時間を、一緒につくっていきます。
※この訪問は特定の効果を保証したり、診断や治療の代わりになるものではありません。体調面で不安がある場合は、無理をせず、必要に応じて専門機関へご相談ください。

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